衝撃のシーズン開幕戦

 この時期に「シーズン開幕」といっても、私の場合もちろんプロ野球でもなければ Jリーグでもない。蝶の国内シーズンの開幕である。

 温暖化や暖冬がいちいち大きな話題にもならなくなった気がして仕方がないが、これまでのところの予想では、私が予想を始めてからの最近の25年間で、今年のギフチョウは2番目に発生が早そうだ。もしそうだとすると、大げさでなくそれは「史上2番目に早い発生」ということを意味する。そのうえ雪国では残雪が非常に少ないとのことなので、さらに一層発生が早いかもしれない。

 ということで、昨日4月2日(土)、大胆予想を打ち立てて岐阜県郡上市大和町へギフチョウ採集に出かけた。事情通の方なら「いくらなんでも早すぎだろう」と思われるかもしれない。なにしろ当地は、温暖化で発生が早まった最近でも4月10日頃が適期と考えられ、1週間以上早い出陣ということになる。

郡上市大和町大間見付近の桜(ソメイヨシノ)。2016年4月2日午前。
郡上市大和町大間見付近の桜(ソメイヨシノ)。2016年4月2日午前。

 現地に着いていきなり後悔した。写真のとおり、桜が全く開花していないのだ。ソメイヨシノの開花と、その土地のギフチョウの発生はおおよそ一致する。ギフを採りに行って、これほどまでに桜が咲いていなかった経験はない。逆に言うと、こんなに咲いていないのなら明々白々フライングである。

 ところが、午前9時前にポイントに着くやいなや、斜面を弱々しく翔ぶギフを雅恵が車窓から発見。この時点で車載の温度計はまだ12℃を示していた。この後も曇り時々晴れの天候で気温の上昇は鈍く、コンデション的にも決して良くなかったが、にもかかわらず1時間足らずのうちに雅恵と二人で16♂1♀の大成果となってしまった。つまり、桜は全く開花していないのに、ギフは♀の出始めで最盛期直前だったということだ。

 温暖化の進行により、日長の影響を受ける植物と、受けない動物との間に季節のズレが顕著になってきていると言われている。桜が咲かないうちにギフチョウが最盛期を迎える。そんなことが、今後は当たり前になってしまうのだろうか。