米朝首脳会談の本当の意味

 突然ですが、このブログ初となる国際政治をテーマとした発言です。もとい、発言ではなくて独喋(ひとりごと)です。 

昨日の午前中、シンガポールで米朝首脳会談が行われ、午後には共同声明に両首脳が署名した。東アジアの国際関係ひいては世界平和の観点から、歴史的一日となった。

ところが、昨晩のテレビニュースや今朝の新聞報道、その後のウェブのニュースを見ていると、首脳会談の成果に対するマスコミの評価は分かれている。一定評価しつつも肝心な部分で懐疑的なものから、全く批判的で失望感をあらわにするものまで、全体的にみればかなり慎重な報道が目に付く。それは、「非核化への具体的な道筋が示されていない」、「朝鮮戦争の終結について言及がない」、「拉致問題の進展がない」といったこともさることながら、そもそもこれまでの金正恩が言ってきたことややってきたことを思えば、急に笑顔でトランプと握手をしても腹の底は信じ難い、というのが根底にあるからだろう。

しかし、マスコミのそのような報道姿勢によって、首脳会談の本当の意味するところが見えてこない。

会談の冒頭でトランプは「我々は大成功を収めるだろう」と、まだ何も始まっていないのに根拠のない楽観的見通しを述べたように思える。しかし、すぐそのあとで金正恩が返した言葉から、一度は破談になりながら急転直下で実現した世紀の会談のシナリオが見えてくる。

「これまで誤った偏見や慣習が我々の目と耳をふさいできたが、これらの過去をすべて克服してここへやって来た」

この言葉の意味は、

「我々はこれまでアメリカのことを『米帝』『悪魔』と非難して敵視してきたが、それは誤りだった」

と公式に表明したことであり、自分たちの非を認めたことである。このことは当然、事前に水面下ですり合わせ済みであって、だからトランプはのっけから上機嫌で何もしないうちから「大成功」と言い放ったのだ。

一般に、政治家が過去の自らの非を認めるのは、辞めるときか辞めてから以外にない。過去の非を認めることは、とりもなおさず現在の自分を否定することにつながるからだ。だから我らが安部晋三も、首相のポストにある限り見え透いた嘘をつき続ける。まして一国の元首が敵国の元首に対して自国の非を認めるのは、戦争に負けたときだけだ。 

だから昨日の米朝首脳会談は、あの金正恩がアメリカに対して白旗を上げて「ごめんなさい。もうしませんから助けてください」と暗に言ったに等しい。少なくともトランプはそのように受け止めて、だから自信満々で有頂天になっている。こうして、朝鮮戦争の休戦以来65年の長きにわたって膠着状態が続いている米朝関係がこれから大きく動き出すとしたら、歴史の大転換点というほど劇的で、それはベルリンの壁が崩壊したのと同じかそれ以上の衝撃だ。そのことに日本のマスコミは気づいていないのか気づいていても報道する勇気がないのか、歯がゆい限りである。